豆知識1

パラリンピックにおける

障害者水泳競技のクラス分け

1.クラスを分けて競技を行うのは障害者のスポーツだけではありません。

クラス分けは身体障害者スポーツの特徴の一つではありますが、身体障害者スポーツに限ったものではありません。一般の競技では男性と女性は別々に競技します。レスリングやボクシング、柔道など体重別にクラスを分けて戦う競技があります。男女の体格や、体重による差は明らかであり容易に勝敗が予測されます。練習の成果や競技力そのもので勝負することが競技スポーツでありますのでこれでは公平さが無いわけです。これと同じように、身体障害の重度な方と、軽度な方が勝負したら軽度な方が勝つことが容易に予測されます。

これでは、競技スポーツとしては成り立たちません。身体障害者の競技スポーツには、練習の成果を競うために、公平であると思われる身体障害同士をグループにして競技するシステムが必要となってきます。このシステムがクラス分けといわれるものです。

 

2.身体障害者のクラス分けは、種類がいくつかあって、少し複雑です。

クラス分けは水泳や陸上といった競技種目の違いの他、同じ水泳競技でも国際パラリンピック委員会(IPC)の関与する大会と国内の全国障害者スポーツ大会、あるいは障害種別団体の大会など大会により適応されるクラス分けシステムが異なります。

ロンドンパラリンピック大会では基本的に国際パラリンピック委員会水泳部門(IPC-SW)が定めたクラス分け規則が適応されます。

 

3.IPC-SWクラス分け:視覚障害は3つのクラス分類、知的障害は1つの分類

視覚障害者は視力や視野の程度によりクラス分けされます。めがねやコンタクト等を用いた状態でどれくらいの視力があるか、視野があるかという検査を受けてクラスが決められます。視覚障害ではクラスは3つあります。

知的障害は1つのクラスで、スポーツ認識力について総合的なテストがなされます。

 

4.IPC-SWクラス分け:肢体不自由は9つから10のクラス分類

肢体不自由は切断、脊髄損傷、脳原性麻痺等の障害原因・状況により残存している運動機能が異なります。障害によりどの程度運動機能が制限されているのか、制限されていないのかの評価によりクラス分けがなされます。水泳の場合は切断、脊髄損傷、脳性マヒ等の障害の原因にかかわらず水泳競技を行うのにどの程度の運動機能が使えるかをみます。水による浮力の作用や、クロールと平泳ぎといった種目によっても必要とされる運動機能が違ってきます。このように、泳法ごとに必要とされる運動機能に基づいてクラス分けをするというシステムを「機能的クラス分け」と呼びます。水泳競技の肢体不自由では9つから10のクラスに分けられます。(項目8の表をご覧下さい)

 

5.肢体不自由:ベンチテスト、ウォーターテスト、競技観察の3つから決定される水泳の機能的クラス分け

水泳における機能的クラス分けは、必要とされる運動機能を点数化して、選手がどの程度の点数を持っているか(運動機能をもっているか)によりクラスを分けています。

運動の要素として、筋力(重力や圧力に対する抵抗力)、関節の動く範囲(可動性)、運動の滑らかさ(協調性)、および身長や手足の長さ(効果を発揮する部位の形態)等を検査します。それぞれの検査において尺度がありそれぞれに点数を配分します。これを、ベンチテストと日本では呼んでいます。

次に、実際の水中で背浮きや伏し浮きの基本姿勢、自由形、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライといった泳法別に基本的な能力を検査します。水泳の技術が未熟なのか、障害が原因なのかを見極めます。これを日本では、ウォーターテストと呼んでいます。ベンチテストとウォーターテストを総合してだされた点数により1から10(ないし9)の仮クラスに分けられます。その後、競技観察(必要でない場合もあります)を経てクラスが確定されます。

 

6.肢体不自由:泳法によってクラスの数が異なります。

水泳は泳法によっても区分けされます。クロール、背泳ぎ、バタフライをS(スイムの略)とし、平泳ぎをSB(スイムブレストの略)、個人メドレーをSM(スイムメドレーの略)とします。これは平泳ぎと他の種目に必要とされる運動機能が違うためです。肢体不自由のS及びSMのクラスは10クラス、SBのクラスは9クラスに分けられます。

 

7.肢体不自由:クラスを大まかにみると

クラスを表す数字が小さい方(例S1)が重度の障害で、大きい方(例S10)が軽度になっています。筆者の感覚的な仕分けでは次のように考えています

S・SB・SM1から4は重度のクラス(入退水の介助が大体必要となります。)

S・SB・SM5、6は中度のクラス(入退水の介助不要な場合が多いが、水中スタートと台上スタートに分かれます。)

S・SB・SM7以上は軽度のクラス(大体台上からのスタートが可能です。)

 

8.肢体不自由:クラスの一覧は次の表のとおりです。

S(クロール、背泳ぎ、バタフライ)
肢体不自由 例:最重度四肢麻痺
肢体不自由 例:重度四肢麻痺
肢体不自由 例:四肢の重度な切断や奇形 四肢麻痺
肢体不自由 例:四肢麻痺 三肢~四肢の切断や奇形
肢体不自由 例:体幹と両下肢の完全障害
肢体不自由 例:軽度体幹障害と両下肢完全障害、重度片麻痺、小人症
肢体不自由 例:両前腕切断、両大腿切断、片麻痺
肢体不自由 例:両下肢麻痺、片上腕切断、片上肢完全麻痺
肢体不自由 例:片下肢完全麻痺、片大腿切断、片前腕切断
10 肢体不自由 例:片下腿切断、片側の上肢または下肢の軽度な障害
SB(平泳ぎ)
肢体不自由 例:重度四肢麻痺
肢体不自由 例:四肢の重度な切断や奇形 四肢麻痺
肢体不自由 例:四肢麻痺 三肢~四肢の切断や奇形
肢体不自由 例:体幹と両下肢の完全障害、重度片麻痺、
肢体不自由 例:軽度体幹障害と両下肢完全障害、小人症
肢体不自由 例:両上腕切断、両大腿切断、片麻痺
肢体不自由 例:両下肢麻痺、片上腕切断、片上肢完全麻痺
肢体不自由 例:片下肢完全麻痺、片大腿切断、両前腕切断
肢体不自由 例:片前腕切断、片側の上肢または下肢の軽度な障害
SM(個人メドレー)
肢体不自由 SとSBの4種目を総合的に見て、おおよそ平均的に決められる。例1:S5,SB3の場合 SM=4例2:S10、SB9の場合 SM=10
肢体不自由
肢体不自由
肢体不自由
肢体不自由
肢体不自由
肢体不自由
肢体不自由
肢体不自由
10 肢体不自由

 

 

 

 

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